投資先事例: LEシステム

佐藤純一 代表取締役

公開日:2019.05.16

高い安全性を誇る蓄電池で再生可能エネルギーを普及へ

LEシステムは、「バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)」という蓄電池に用いる電解液を開発・製造しています。レドックスフロー電池は発電設備などに設置する大型の蓄電池で、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーによる電力を長期間安定供給することができるため、世界的なニーズが高まっています。LEシステムは、独自の技術によってコストを抑えてこの電解液を製造することを実現し、VRFBを広く普及させて再生可能エネルギーの導入促進に寄与することを目指しています。同社の佐藤純一代表取締役にお話を伺いました。

急速に高まる大型蓄電ニーズ

わたしはLEシステム創業以前に、バイオマスメタンプラントの環境コンサルタントを長く担当していました。その当時、将来的に再生可能エネルギー設備の普及によって大型の蓄電池が必須になると考え、発電所向け蓄電池に興味を持ちました。同じ時期に、当社の元取締役でVRFB開発の第一人者である佐藤完二氏に出会い、LEシステムの創業を決めました。

創業当初は蓄電池ニーズが高まるのはまだ先だと考えていましたが、会社創立の2か月後に東日本大震災が起こり、その結果発生した原子力発電所の事故によって、日本における電力供給に対する考え方が大幅に変わりました。具体的には、フィードインタリフ制度*の広がりやソーラー発電の普及などに伴い、出力安定化に向けて大型蓄電池の開発が喫緊の課題として持ち上がったのです。

* 「固定価格買取制度」とも呼ばれ、買取価格を法律で定めた上で、自然エネルギーによって発電した電力の余剰を電力会社が買い取る制度

将来の地域エネルギーネットワークイメージ。電気を「創り」「貯めて」「効率的に使う」次世代エネルギーシステムの構築を目指す。

LEシステムでは当初、蓄電池そのものの開発・製造を目指しました。しかし、ベンチャー企業が製品の性能を保証しながら量産化する難しさとともに、株主から「会社が生き残っていくためには特徴を際立たせるべき」というアドバイスもあり、電解液事業に特化して事業を進めていく決断をしました。このようにして現在は、バナジウム電解液の製造・開発に注力して事業を進めていますが、将来的には蓄電池の製造も視野に入れて開発を続けています。

産業廃棄物からバナジウムを回収し、コストを削減

バナジウム電解液。成分により色が異なる。

VRFBの電解液製造の製造にはレアメタル「バナジウム」が必要不可欠ですが、調達の不安定性と高コストという課題がありました。この課題がVRFBの普及に影響を及ぼしています。そこで、LEシステムではバナジウムを本来産業廃棄物となる火力発電所の灰などから回収する技術を開発しました。この技術によって、低コストで電解液を製造することができ、VRFBの普及にも貢献できると考えています。

INCJからの出資で大規模プラント建設を実現

大規模な設備投資が必要となるベンチャー企業には、資金力があって長期的に支援をしてくれるリード投資家のサポートが必須です。日本の産業にとって重要なものづくりに理解があり、技術を資金面から支えてくれるINCJは、まさに理想のパートナーでした。これに加えてINCJからは、IPOに対応できる内部統制や取締役会についてのアドバイスもありました。特に大きく変化したことは、INCJが他の投資先にLEシステムを紹介してくれることによって、他企業が出資検討するハードルが下がったことです。

調達した資金は、その大部分をつくば事業所にあるバナジウム電解液の製造及びバナジウムの回収専用の実証実験プラントに充てています。さらに、2019年に着工する本格的な大型量産工場となる福島県・浪江町に建設するプラントにも活用予定です。

再生可能エネルギー向け技術を福島から世界へ

震災2か月前に設立されたLEシステムが、8年の時を経て福島の浪江町に未来のエネルギーに向けたプラントを立ち上げる。再生可能エネルギーの安定利用に寄与でき、世界に通用する技術を福島県から世界に向けて飛び立たせることは、大変意義深いことだと感じています。浪江町からも「こういう技術が来てくれるのを待っていた」という声が上がっておりわたしたちも期待に応えたいと思っています。福島で蓄電池の量産化を実現できたあかつきには、中国や台湾、タイ、南アフリカなど世界に向けて展開していきたいと考えています。

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