ABEJA

岡田陽介 代表取締役社長

公開日:2018.01.26

ディープ・ラーニングの力で、日本の産業構造に変革をもたらす

「ディープラーニング(深層学習)」というAI技術をベースにしたプラットフォーム・ビジネスを展開しているABEJA。小売流通や製造の現場に設置したカメラなどの各種センサーで得られる膨大なデータを、AIを使って解析し、マーケティングや業務改善・効率化に生かす事業を展開しています。同社創業者であり、CEO/CTOの岡田陽介代表取締役社長にお話を伺いました。

事業化への道のり ー 学生起業 ~ ディープ・ラーニングとの出会い

とにかく子供の頃からコンピューターが大好きで、「コンピューターでできること」で何か事業を起こしたいと考えていました。大学時代には、ちょうどその頃にアメリカで流行り始めていたインスタグラムのような画像シェアリングサービスを日本でやってみようと思い、会社組織を立ち上げました。実際にシステムを作るところまでは成功したのですが、サービスを運営すると莫大なサーバーコストが発生することが判明し、残念ながら事業化までは至りませんでした。そのときに、会社経営は技術だけでは成立しないことを痛感しました。

そんな際に、リッチメディアの坂本幸蔵社長から、技術者ではなく、経営者になる勉強をしてはどうかと、同社への参画に声をかけていただきました。リッチメディアでは、システム開発から営業、マーケティングなど、実際に事業を起こすための知識やノウハウを勉強する機会に恵まれました。一通り成果を出せたタイミングで坂本社長から「シリコンバレーに行ってみないか」とオファーをいただき、喜んで渡米しました。

そして、そこでディープラーニングの最先端を目の当たりにすることになります。現地の技術者から、ディープラーニング(当時は、ディープニューラルネットワーク)の話を聞き、興味を持つきっかけになりました。それ以降、ディープラーニングにどんどんのめりこんでいき、その後共同創業者の2名とともに、現在のABEJAを立ち上げました。

小売流通業向けSaaSモデルで事業を安定化

ディープラーニングを活用したPaaSモデル「ABEJA Platform」を開発しましたが、企業の方々に一生懸命説明してもなかなかピンときていただけず、どうしても採用に至るまで話が進みません。一方、小売流通業では店舗にカメラやデバイスを設置してもらう障壁が比較的低いことが分かり、ようやくとある小売業にご理解いただき、小売流通業向けのソリューションを構築して、納入できました。

それでもなかなか収益が安定しない日々が続きました。それを解決したのが、出資企業の一つであるセールスフォースが採用していたSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)ビジネスモデルでした。ソフトウェアを個々の顧客側に置かず、クラウドで一括提供し、月額課金をするこの手法を取り入れることで、スケールできる ― つまり、顧客が増えるほどコスト効率が上がるビジネスモデルが完成しました。

ABEJAのサービスモデル

世界的半導体メーカーNVIDIAとの資本提携へ

AIは第4次産業革命を支える技術革新という視点からも、これからの日本産業の成長を支える技術だと言えます。産業革新機構からの出資は、「国がこの分野に注力している」という証でもあるので、非常に心強く感じています。
結果、投資先としての信頼性も高まり、各社からの出資を呼び込めるようになりました。2017年3月には、カリフォルニアに本社を構える、世界的に有名な半導体メーカーNVIDIA Corporationと資本提携をすることができ、技術的にも社会的にも国際レベルで大きな信頼につながりました。産業革新機構には、特に海外投資家の方とのコミュニケーションで多くの支援をいただいています。NVIDIAと資本提携を行う際のアメリカの投資担当との交渉では、アメリカのVC業界の特徴や文化を踏まえた、非常に的確なアドバイスとサポートをいただきました。このサポートがなければNVIDIAからの出資は成功しなかったかもしれません。

AIで社会課題を解決し、未来を創造する

将来は、積極的な海外進出を考えています。2017年3月には、ABEJAの完全子会社である現地法人をシンガポールに設立しました。わたしたちが海外進出する意義の1つ目は、ディープラーニングのプラットフォーム事業が世界でまだ発展途上にあるため、ABEJAが世界のスタンダードになれる可能性があります。2つ目は、日本の小売流通業や製造業が有している世界トップクラスのサービス業のノウハウを輸出できるという点です。例えば、コンビニエンスストアを支えている物流プロセスやオペレーションなどを人材の派遣や教育だけで実現するのは至難の技です。しかし、小売流通業に蓄積されたノウハウをディープラーニングで標準化したITシステムに落とし込めれば、ノウハウを"かたち"にすることができます。つまり、日本の優秀な小売流通業ノウハウを立派な商品として世界に売り出すことも夢ではありません。

日本の産業は今、1人あたりのGDP低下や人口減少による労働力の低下という大きな課題に直面しています。そうした中、AIを活用することにより、1人あたりの生産力を2倍、3倍と増大させる可能性を秘めています。わたしたちABEJAがそれを実現していきたいと思っています。

シリコンバレーでは、個人資産を増やすことを目的とせず、社会課題解決に立ち向かっている多くの起業家にお会いしました。ABEJAも社会課題を解決し、日本、そして世界の未来を創造していきたいと考えています。

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