2020.02.21
株式会社XTIA:
世界初のインライン非接触三次元測定器を開発する株式会社XTIA(旧社名:株式会社光コム)への追加出資について
・「光コム」理論を産業応用した世界初のインライン非接触三次元測定器を開発
・製造業において測定・検査を自動化し、インダストリー4.0の実現に貢献
・大企業とのオープンイノベーションによって、より高付加価値な製品を開発
株式会社INCJ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:勝又幹英、以下「INCJ」)は、「光コム」の原理を応用した、高精度非接触方式の検査機器を開発・販売する株式会社XTIA(本社:東京都千代田区、代表取締役社長兼CEO:八木貴郎、以下「クティア」、旧社名:光コム)に対し、同社の新たな事業展開を推進するための成長資金として、6億円を上限とする追加出資を行うことを決定しました。また、本資金調達ラウンド・シリーズCでは、INCJのほか、JUKI株式会社、双日株式会社、株式会社ニコンが出資を決定し、クティアが調達する資金の総額は17億円となります。
クティアは、2002年に設立された東京工業大学発の技術ベンチャー企業で、2008年に「光コム」の原理を計測器に応用し、2011年には、形状測定器の初期モデルを開発しました。2016年4月には、世界で初めて「光コム」を活用したインライン全数検査対応の非接触式三次元形状測定器の開発に成功し、現在では国内の全自動車メーカーの量産ラインに導入されています。
「光コム(光周波数コム)」とは、光の成分が周波数軸上で「櫛」(くし=comb:コム)のように規則正しく並ぶ、特殊なレーザー光源です。1990年代から注目されている研究分野であり、2005年には光コムに関する研究がノーベル物理学賞に選ばれ、2009年には日本の計量法に定められた長さの国家標準に光コムが採用されました。クティアは、東工大ベンチャー時代の2000年代から、「光コム」理論の産業応用に取り組んできました。
クティアの主力製品である非接触式三次元形状測定器は、被対象物の全面を走査して形状をスキャンし、高度な数値処理を経て三次元点群データとして再現することが出来ます。また、自動判定ソフトウェアを搭載し、品質規格に照らした欠陥自動判定を行うことも可能となるため、導入先企業からは、「高精度」「全数検査」を両立する測定器として高い評価を得ています。特にインライン全数検査市場においては、クティアの測定・検査技術が高い競争力を保持。検査工程の自動化の推進は、スマートファクトリーの実現を目指すインダストリー4.0への貢献も期待されています。
INCJは、クティアの高い技術や製品を導入することにより、製造業における品質管理レベルの大幅な向上や人的リソースの効率化が実現できるなど、日本の産業競争力強化への貢献が期待できることから、2018年に4億円の出資を行いました。INCJはクティアへの出資以降、同社の組織体制など経営基盤の強化や、パートナー企業の紹介などを中心に支援してきました。例えば、クティアはINCJと日産自動車株式会社が実施したベンチャー企業の技術展示会*を機に、日産自動車からエンジンの量産ラインにおける3次元形状測定器を受注することができました。
今回、INCJは、クティアがこのような大企業との協業によって、より付加価値の高い製品開発を軸としたアライアンスビジネスに事業拡大の舵を切るため、その事業拡大の成長資金として、6億円の追加出資を決定しました。今後は、製造業界のみならず、医療業界や航空宇宙業界等の幅広い分野においても、光コム技術が応用されることを期待しています。
<*ベンチャー企業の技術展示会 ご参考>
INCJウェブサイト イベントレポート 「INCJと日産自動車が、ベンチャー企業技術展示会を開催」
https://www.incj.co.jp/newsroom/2019/6.html