NEWS ROOM

2015.02.09

クオンタムバイオシステムズ株式会社:
次世代DNAシークエンサーを開発するクオンタムバイオシステムズ株式会社への出資を決定

 株式会社産業革新機構(以下「INCJ」)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長: 能見公一)は、トンネル電流を利用した革新的なDNAシークエンサーを開発するクオンタムバイオシステムズ株式会社(以下「QB」)(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:本蔵俊彦)に対し、今後の事業推進に必要な資金として33億円を上限とする出資を行うことを決定し、その一部の出資を実行しました。
 またQBに対しては、既存株主である株式会社ジャフコ(本社:東京都千代田区、取締役社長:豊貴伸一)、株式会社東京大学エッジキャピタル(「UTEC」)(本社:東京都文京区、代表取締役社長:郷治友孝)、みずほキャピタル株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川端雅一)に加えて、新規投資家である三菱UFJキャピタル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:安藤啓)も出資を実行しました。

 QBは、1分子電流計測によるDNA解析原理を実証した大阪大学・川合知二特任教授、谷口正輝教授らの研究成果をベースに次世代シークエンサーの開発を目指す大学発ベンチャーです。谷口教授らのグループはゲーティングナノポア法*により、DNAやRNAが1ナノメートル程度の電極間を通過する際に発生するトンネル電流を計測し、塩基配列を識別することに世界で初めて成功しました。
*ゲーティングナノポア法:4つの塩基分子の電気抵抗が異なることを利用して、1対のナノ電極の間をDNAが通過するときに塩基分子を流れるトンネル電流を計測することにより、DNA/RNAの塩基配列を解読する方法

 医療分野においては、DNAの超高速解析、ウイルスや花粉などのアレルゲンの超高感度・超高速検出に対するアンメットメディカルニーズが存在します。現在普及しているDNAシークエンサーは、解析DNAの増幅を必要とするため検査時間が長くなり、またDNA塩基配列解析に用いられている蛍光試薬を必要とするため、根本的な低コスト化が難しいという課題がありました。QBのアプローチはトンネル電流を用いた1分子計測により、原理的に1分子のDNAがあれば十分であるため増幅は必要とせず、また電流による直接塩基識別が可能であるため蛍光試薬を必要としません。これにより、短時間かつ低コストで解析することが可能となります。また、量産化と集積化を得意とする半導体技術で作製されるチップデバイスを活用しているため、大幅な低コスト化が期待されます。さらに、トンネル電流を利用したナノチップシステムの集積化は、複数のDNA断片を同時に高速解析することを可能とし、塩基配列決定精度・速度を向上させることにも寄与します。

 今後QBは世界で成長が加速するDNAシークエンサー市場において、日米を拠点にグローバルに事業展開を行っていきます。次世代DNAシークエンサーの開発・製造販売にとどまらず、製薬企業・アカデミアなどからの広範な解析受託も視野に幅広い事業展開を進めていく予定です。
 QBは、高速・低コストのDNAシークエンサーの普及により患者別の薬剤・治療の有効性や安全性の識別が可能になることで、個別化医療の推進につながることを期待しています。

 INCJはQBに対して、今後の事業推進に必要な資金を供給するとともに、社外取締役の派遣、事業開発体制の強化、戦略パートナーとの提携支援などの経営サポートを行います。INCJは上記の取り組みを通じ、世界初となるトンネル電流直接測定方式を活用した次世代シークエンサーの事業化を実現し、世界で成長が加速するシークエンサー市場において大きな飛躍を実現するとともに、個別化医療/創薬研究の発展を加速させるプラットフォームとなるよう支援してまいります。

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