投資先事例:Ridge-i

柳原 尚史 代表取締役社長

公開日:2020.09.10

社会や顧客の課題をAIで解決するプロフェッショナル集団

Ridge-iは、AIおよびディープラーニングを用いて社会やビジネス課題の解決を支援するテクノロジーカンパニーです。すでにAIやディープラーニングは社会のさまざまな領域で活用され始めており、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるテクノロジーとしても期待されています。この最先端技術を活用して社会やビジネス上の課題を解決するために、Ridge-iでは情報収集・分析から開発、導入、顧客による運用までを視野に入れたソリューションを提供しています。同社のビジネスについて、柳原社長にお話を伺いました。

技術とビジネスをつなぎたいという思い

大学時代からプログラミングを用いたビジネスを手がけていたことや、女性としては珍しいシリアルアントレプレナーだった祖母の影響もあり、将来は実業家になりたいと思っていました。卒業後すぐに創業するのか、それとも就職するのか非常に悩みましたが、世の中を動かしている大企業がどのように動いているかを学ばなければ、社会にインパクトを与える会社は作れないのではないかと考え、まずは大企業に勤めてみようとNTTコミュニケーションズに入社しました。その後、ビジネスの根幹で使われている技術に通信インフラ以外にも携わりたいという思いからHSBCをはじめとする大手金融機関数社で働き、2016年にRidge-iを創業しました。

金融機関で勤務していた頃、技術を分かりやすく伝えられる人間として評価をいただいていました。技術サイドの人間とビジネスサイドの人間は微妙に視点や用語が異なるため、なかなか話が噛み合わない場合があります。そこで技術の話を分かりやすくビジネスサイドの人間に伝え、技術者にはビジネスサイドのニーズや悩みを技術用語に分解して伝える。お互いが歩み寄れるように両者をつなぐ、そこに私の強みがありました。日々新しくなる技術とビジネスをつなぐことは、社会としても継続したニーズがあるのではないか、そういった思いが創業の背景にあり、Ridge-iのコンセプトにもなっています。

また、プライベートでのきっかけとしては、フランスーイタリアの国境にあるアルプスの最高峰モンブランに作られた174kmのコースを46時間、不眠不休で走る「UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)」を完走したことも起業の自信につながりました。30歳まで運動経験はありませんでしたが、ひょんなことからトレイルランニングにハマり、UTMB完走を目標にして頑張ってトレーニングを積んで目標を達成したことで、強く描いた夢は実現できると自信を持てました。

幅広い領域の課題をディープラーニングで解決

我々が注力しているディープラーニングのような先端技術が登場したとき、どう使えばよいのか分からないという企業や人は少なくありません。Ridge-iの強みかつ競合他社との違いは、お客様が抱えているビジネス上の課題や制約に向き合い、AIだけに捉われることなく、既存技術やソリューション等を組み合わせて最適なプロジェクトの設計と推進ができる点、導入技術やパートナーシップを活用して水準を超える実現力を発揮する点だと認識しています。

我々が最初に手がけたのは、ディープラーニングを使って白黒映像の自動カラー化する技術を株式会社NHKアート様と共同で開発したプロジェクトです。たとえば、人間の肌と空の色は白黒映像ではほぼ同じ色なので、「この値の色は、この色に変換する」という単純なルールに基づく変換(ルールベース変換)では塗り分けられません。しかしディープラーニング技術を使うと、それぞれの白黒の値がどういった特徴を持つ領域かをAIに学ばせ、両者を違う色に塗り分けることが可能になります。このように、カラー化はディープラーニングでしか解決できない面白い課題ですが、放送品質を目指すには、時代考証を踏まえた着色や高解像度化などが必要となります。アルゴリズムやオペレーションを工夫しながら、こういった一つ一つのハードルを超えることで、実際のNHKスペシャルでの実用につながりました。
その後もさまざまなプロジェクトに携わりました。具体的な事例としては、荏原環境プラント株式会社様と共同開発した、ごみ焼却工場でのごみ種別認識AI自動運転クレーン開発があります。これはカメラで捉えたごみピット内の多種多様なごみの画像をディープラーニング で識別し、高度制御装置でピット内のクレーンの操作判断を行い、クレーンを自動運転させるものです。クレーンを操作するオペレーターの“眼”をAIに置き換え、ごみの燃えやすさや粒度などからごみの種別を判断し、その情報を用いてクレーン操作の判断も行うようにしています。

また最近では、新型コロナウイルス(COVID-19)の対策ソリューションを開発しました。ネットワークカメラの映像から密接度や密集度、群衆人数をリアルタイムに計測するソリューションです。このソリューションは社内で企画してから、わずか2週間程度で実現することができました。解くべき課題が生まれたとき、技術を活用して誰よりも早く解決し、形として社会に出すことができたことに会社としての成長を実感しました。創業してからの4年間で一番嬉しかった出来事です。

Ridge-iの成長をINCJがサポート

INCJから投資を受けることになったのは、あるイベントでINCJの担当者と知り合ったことがきっかけです。そこでRidge-iの事業についてプレゼンをし、投資の話が進みました。実際に投資を受けるという判断をするには覚悟が必要でしたが、これまでの経歴を通じて、社会に大きいインパクトを起こす事業をするためにキャリアを積み、創業に至ったことに立ち戻り、株式市場への上場を視野に入れて、投資先行でより大きなビジネスの構築に積極的にチャレンジすることに覚悟を決めました。
またINCJからは資金面以外でもさまざまな支援をいただいています。INCJとつながりのある企業を紹介していただく機会も多く、実際にマッチングしていただきビジネスに発展したケースも数多くあります。また毎月の取締役会に参加していただき、アドバイスをいただけることも大変ありがたい点です。

最先端の技術を使って社会やビジネス上の課題を解く

創業から3~4年はコンサル開発を主軸にしてさまざまな領域のニーズを掴むことに注力し、その後は特定の領域で有用なプロダクトを作るという計画を立てています。こうした取り組みの中で、私がもっとも期待しているのは宇宙産業におけるAIの活用です。私自身、宇宙が好きだったため、その領域でビジネスを創りたいと考えていました。そこからゼロベースで取り組み、1年後にはJAXAより受託した土砂災害解析ディープラーニングなどの活動を評価され、第4回宇宙開発利用大賞にて経済産業大臣賞をいただくことができました。この取り組みは今後も継続していきたいと考えています。

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