NEWS ROOM

2020.02.17

株式会社メガカリオン:
ヒトiPS細胞由来血小板製剤の実用化を目指すベンチャー企業 株式会社メガカリオンへの追加出資について

・京都大学との共同研究による製法で献血由来血小板と同等の血小板製剤を製造
・日本における臨床試験に向けた準備、並びに商業用大量生産技術の開発を推進

株式会社INCJ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:勝又幹英、以下「INCJ」)は、ヒトiPS細胞から血小板を産生する技術を臨床応用した血小板製剤の事業化を目指す株式会社メガカリオン(本社:京都府京都市、代表取締役社長:赤松健一、以下「メガカリオン」)の事業進捗に伴い、同社の第四回第三者割当増資を引き受け、15億円を上限とする追加投資を決定し、同額の出資を行いました。メガカリオンは、今回の第三者割当増資(シリーズD)で、総額28億円の資金を調達し、INCJ以外では、SBIインベストメント株式会社が運営するファンド、積水化学工業株式会社、佐竹化学機械工業株式会社が出資を行いました。

輸血は抗がん剤治療による血小板減少症や出血性疾患に用いられる基本的な医療手段の一つであり、そのために必要な血小板製剤の市場は全世界で5,000億円を超えており、安定供給に対する社会的ニーズも非常に高くなっています。一方、血液製剤は献血を基に生産されますが、特に高齢化や人口減少が進む日本国内においては、2027年には献血者の不足が85万人に達するとも言われています。とりわけ、冷凍保存ができない血小板は、血液の中でも赤血球や血漿に比べ保存可能期間が4日ときわめて短いので需給調整に細心の注意が払われており、今後の少子高齢化の一層の進展により需給の逼迫が懸念されています。

そのような状況において、メガカリオンは、iPS細胞から血小板を産生し、ヒトiPS細胞由来の血小板製剤の実用化を目指すベンチャー企業として2011年に設立されました。献血を原材料としないので、計画的安定供給が可能であり、病原汚染等の危険性がない血液製剤の供給が可能となります。

また、繰り返し血小板輸血を受けた患者の中には、血小板上のHLA1)の存在によってHLA抗体が産生され、輸血効果が得られなくなることがあります。メガカリオンは、特定のHLAタイプを持つヒトiPS細胞由来の血小板の開発を進めるとともに、HLAの型を問わずに使用することができるHLAユニバーサルタイプのヒトiPS細胞由来血小板の研究開発を進めています。メガカリオンが開発するヒトiPS細胞由来血小板製剤は、献血血小板製剤が抱える需給問題並びにHLA適合血小板の確保という課題を抜本的に解決できる手段として、早期の実用化が望まれています。

INCJは、メガカリオンに対し、リードインベスターとして、2013年8月に10億円、2015年3月に16.9億円、2017年12月に11億円、総額37.9億円の出資を行ってきました。
その間、メガカリオンは、ヒトiPS細胞から血小板のもととなる凍結保存可能な不死化巨核球細胞を樹立(取得)し、血小板を大量に生産する製法の確立に成功しました。さらに、薬事当局との相談実施や業許可取得、多くの国内外アカデミア、公的機関、国内外事業会社との共同研究や業務委託など密接な連携を行うことで、順調にその計画を進捗してきました。

そのような実績を踏まえ、今回のシリーズDで調達された資金は、日本での治験開始のための治験薬製造や非臨床試験、製造コスト削減のための製造技術開発、HLAユニバーサルタイプの血小板製剤の研究開発に供される予定です。

本プロジェクトは、日本の産・学・官が密接に連携し、世界のトップを走るiPS細胞の研究・開発の具現化を目指すもので、日本と世界の輸血医療インフラに革新的な進化をもたらすものです。INCJは、日本のバイオベンチャーに対する資金供給の呼び水としての資金提供にとどまらず、本投資を通じて、iPS細胞の実用化を促進する事業環境の整備など、日本のライフサイエンス産業の活性化に貢献できることを期待しています。

1) HLA
HLA(Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原)は 1954 年、白血球の血液型として発見されました。その後の研究から白血球だけにあるのではなく、ほぼ全ての細胞と体液に分布しており、組織適合性抗原(ヒトの免疫に関わる重要な分子)として働いていることが明らかになっています。HLA は多くの抗原の組み合わせで構成され、更にそれぞれが数十種類の異なるタイプをもち、その組み合わせは、数万通りともいわれています。一方、HLA はヒトの体の中で重要な免疫機構として働いており、その主な役割は自他認識をすることにあります。自分の HLA のタイプと異なるものを異物と認識して攻撃するため、造血幹細胞移植や臓器移植、再生医療等では HLA の適合性が重要ですが、HLA は両親からその半分ずつを受け継ぐため、親子や兄弟の間でも一致する確率は低く、まして非血縁間では数百〜数万分の 1 の確率でしか一致しないといわれています。

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