お知らせ

2014.02.03

NapaJen Pharma, Inc.:
ドラッグデリバリーシステム(DDS)技術を用いた核酸医薬等の医薬品開発を目指すNapaJen Pharma, Inc.への出資を決定

 株式会社産業革新機構(以下「INCJ」)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長能見公一)は、核酸医薬のドラッグデリバリーシステム(以下「DDS」)技術を用いて移植時の免疫抑制剤等の医薬品開発を目的とするNapaJen Pharma, Inc.(以下「NapaJen Pharma」)(本社:米国カリフォルニア州、代表取締役 安藤弘法)に対し、医薬品の初期開発費として9百万USドルを上限とする出資を行うことを決定しました。
 また、NapaJen Pharmaに対しては、三井物産グローバル投資株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 吉田勉)が運用するファンドも出資を行います。

 近年、癌や遺伝子病などを含む難治症に対して、その原因に遺伝子レベルでアプローチができる核酸医薬に期待が寄せられ、世界中で研究開発が進められています。しかし、核酸は単独では不安定な構造のため、期待する薬効が発揮される前に体内で分解されてしまうという医薬品開発において大きな課題を有しています。この課題を解決すべく、DDSと呼ばれる薬剤送達技術が、生体内で核酸の機能を生かす鍵を握るテクノロジーとして大きく注目されています。
 NapaJen Pharmaは、(独)科学技術振興機構プロジェクトにおける九州大学・北九州市立大学をはじめとする研究グループの成果である、天然多糖が核酸のDDS担体として有望であるとの研究結果に着目し、子会社であるNapa Jenomics株式会社(以下「Napa Jenomics」)(本社:東京都小金井市、代表取締役 安藤弘法)と共に、天然多糖に核酸を内包させ複合体を形成することで特定の細胞(樹状細胞)に伝送するDDS技術を開発しました。本技術を用いることにより、天然多糖と複合体を形成した核酸は、体内で安定化し本来の機能を発揮することが期待されます。NapaJen PharmaとNapa Jenomicsは、核酸医薬のうちRNA干渉薬と呼ばれる医薬品について、既に複数種の複合体を開発し薬効の確認を進めています。

 現在、NapaJen Pharmaは、移植時の拒絶反応に関連する遺伝子を標的とした免疫抑制剤の開発を行い、動物実験において高い薬効が示唆されています。米国および日本における移植治療の件数は近年増加傾向にありますが、既存の免疫抑制剤は治療期間の長期化によって深刻な副作用が発現することが少なくありません。本技術を用いた核酸医薬は、体内で分解されることなく特定の細胞(樹状細胞)のみに伝送されるため、副作用のリスクが軽減し、高い安全性が期待できます。これまで局所にのみ投与可能であった核酸医薬が全身に投与可能になれば、世界に先駆けた成功事例となり、より高い有効性と安全性を備えた医薬品の開発が促進されることとなります。

 NapaJen Pharma はこれまで民間ベンチャーキャピタルである三井物産グローバル投資より資金提供を受けてきました。今後はINCJ も共同して、医薬品の開発を一層加速させるための資金提供および経営面でのサポートを行います。

 INCJ は、NapaJen Pharma への投資を通じて、革新的な創薬技術による患者のQOL(Quality of Life)の改善およびアンメットメディカルニーズの充足ができるものと考えています。加えて、民間からの資金供給の後押しを行うことで、日本の創薬ベンチャー業界の活性化を目指します。

PDF(ニュースリリース)

HOME
企業情報
事業情報
お知らせ
投資実績
お問い合わせ