2013.04.01
株式会社アクアセラピューティクス:
産学の技術を結集し日本独自の次世代核酸医薬の開発を目指すバイオベンチャーへの出資を決定
株式会社産業革新機構(以下「INCJ」)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:能見公一)は、日本独自の技術を基に核酸医薬の開発を目指す株式会社アクアセラピューティクス(以下「アクアセラピューティクス」)の第三者割当増資を引受け、今後の医薬品開発の初期段階に必要な資金として4.5億円の投資を行うことを決定しました。
また、アクアセラピューティクスは、ひびしんキャピタル株式会社(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:八山哲夫)の運用するファンドに対しても第三者割当増資を行う予定です。
核酸医薬は、従来の低分子医薬品、抗体医薬品などと異なる画期的な医薬品として、世界各国で開発が進められております。しかしながら、核酸医薬は安定性や薬物動態の制御(DDS技術)などが課題となっており、上市に至った事例はごく限られております。アクアセラピューティクスは日本独自の技術を使用し、核酸医薬の持つ課題を解決しうる次世代核酸医薬の開発を産・学・官と協同し実施いたします。
アクアセラピューティクスは、核酸化学に強い技術基盤を持つ株式会社ボナック(本社:福岡県久留米市、代表取締役社長:林宏剛)が独自に開発したプラットフォームを用い、これまで有効な治療薬がなかった疾患に対する核酸医薬の開発を推進します。その第一歩として、様々な病態に関与することが知られているペリオスチン※1をターゲットとして、アンメットメディカルニーズが高い疾患に対する新しい治療薬の提供を目指し、核酸医薬の研究開発を日本及び米国で実施いたします。
アクアセラピューティクスの主要経営メンバーは、代表取締役の吉川寿徳氏をはじめとして、日系の大手製薬企業において医薬品開発の経験を豊富に有しております。また、アクアセラピューティクスは、九州大学、東京医科大学、佐賀大学等と協同する研究開発体制を既に構築しており、今後、産業革新機構及び共同投資家が出資する開発資金の活用により開発の加速を目指します。
オープンイノベーションを通した医薬品の創出を目指すINCJは、アクアセラピューティクスに対して、リードインベスターとして必要資金を提供するとともに、社外取締役の派遣、サイエンスアドバイザーの派遣や業務体制の構築等の経営面でのサポートを行います。また、独立行政法人科学技術振興機構(JST)もA-STEP※2 を通してアクアセラピューティクスに対して支援を実施いたします。
本投資は、我が国の産・学・官が密接に連携し日本独自の次世代核酸医薬を開発するオープンイノベーションの具現化を目指すものです。更に、日本のバイオベンチャーに対する資金供給の呼び水とし、日本の創薬の活性化を目指します。
※1 ペリオスチンは、細胞の接着、遊走、増殖などに関与する細胞外マトリクス蛋白であることが知られており、九州大学における研究により糖尿病網膜症治療の新しい分子標的となる可能性が示されています。また、佐賀大学の研究では、ペリオスチンがアトピー性皮膚炎の慢性化の原因となっていることが明らかになっています。
※2 A-STEP は、JST が実施するプログラムであり、国民経済上重要な科学技術に関する大学・公的研究機関等で生まれた研究成果を基にした実用化を目指すための研究開発フェーズを対象とした技術移転の支援を実施します。